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​整形外科

埼玉県、川越市、動物病院、整形外科
骨折整復
​骨折整復

骨折の治療は単純なものから複雑なものまで多岐にわたります。

その理由は骨折の起こる部位と原因・病態が様々あるからです。

犬では骨盤、大腿骨、橈尺骨そして脛骨が骨折の77%の割合を

占めます。また猫の場合、骨折が最も多い部位は大腿骨骨折であり、

全骨折の30%を占めます。

骨折の多くは交通事故などの不可抗力的な外力が原因となります。

しかし最近の都市住宅環境など影響により小型犬が家族の一員として

好まれる傾向にあります。この室内で多く飼われる小型犬は、

飼い主に抱っこを要求(または要求されたり)することが多く、

その際に過って落下して骨折、またはソファやイスから飛び降りを

繰り返す中で滑って骨折してしまうケースも少なくありません。

このように様々な部位や原因から起こる骨折に対応するために治療方法は

近年、大きく変化していています。代表的なものとしては髄内ピン、

プレート固定や創外固定法などの手術法が挙げられ、これらの方法を単独

もしくは複数で組み合わせていくことが必要となります。

[ プレート固定法 ]
この方法は、初期に強固で安定した固定をもたらします。これは手術後に

安静管理が困難な動物の骨折治療には好都合です。

 

[ 創外固定法 ]
この方法は、プレート固定法に比べて固定の強度は低いです。

しかし非開創(皮膚を多く切らない)手技を使用することができます。

また重度の開放骨折や感染を伴う骨折は、骨折部のインプラント(骨折整復に必要な金属)を最小限に抑えることが可能なこの方法が適応と考えられます。

膝蓋骨内方脱臼
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​膝蓋骨内方脱臼
膝蓋骨(膝の皿)が正常な位置から外れてしまう進行性疾患です。
本症は先天性と後天性に分けられ、
先天性のものでは、出生時からの膝関節周囲の筋肉、また骨の形成異常や
靭帯の付着部の異常などが存在し、加齢とともにこれらが悪化することで、膝蓋骨の脱臼を招きます。
後天性のものでは、打撲や落下などによる外傷性が原因で膝蓋骨周囲の組織に損傷が生じることで発症します。

 定義
膝蓋骨が大腿骨遠位の滑車溝から内方または外方に転移する状態

 原因
遺伝的要素が重要と考えられており、大腿四頭筋機構の異常、股関節異常、後肢の変形との関連などが報告されておりますが、現在でも正確な病因
あるいは発生機序は分っておらず、治療方針や合併症の問題に関して議論が続いています。
10kg以下の小型犬に多く認められる傾向があること、大型犬でも内方への脱臼が全体の75~90%を占める傾向があります。

 症状
時々肢を挙上する間欠的な歩行異常が多く、常に肢を挙上するケースは
少ないです。肢を後ろに伸ばす動作を繰り返し、それを主訴に来院される
こともあります。
日常生活において膝蓋骨の脱臼と整復を繰り返し、関節軟骨が磨耗すると
症状は悪化し、歩行異常はより顕著化します。
更に四頭筋機構が関節を安定化させられなくなることも手伝い、
前十字靭帯断裂症が併発することもあります。

 手術の適応
基本的な手術の推奨時期は、Singleton分類のグレード2で歩行異常が出る症例としています。
また、無症候性の膝蓋骨脱臼が日常診療において多く見つかりますが、この場合、本当に症状が出ていないのか、飼い主が気付いていないのか、判断が難しい場合があります。
よって当院では、若齢期の犬、大型犬、グレード分類(無症候のようでも
グレード3の場合)などを考慮しながら手術の適応を見極めます。
当院では、年間平均30〜40膝の手術を行ないますが、グレード2~3(完全なG3ではないが、G3に近いG2)の症例が多い状況です。

 グレード分類
膝蓋骨の脱臼は、その程度により1~4段階に分けられます。
(グレードI~IV:Iが最も軽度、IVに近づくほど重度) 
■ グレードⅠ
膝蓋骨は正常な位置にあり、足を進展させて膝蓋骨を指で押すと脱臼しますが、放すと自然に整復されます。無症状のことが多いですが、時にスキップ様の歩行をすることが多くみられます。
■ グレードⅡ
膝関節は不安定で、寝起き時のように膝関節を屈曲していると脱臼し跛行
したりするが、指で膝蓋骨を押すと整復できます。このレベルでは、
数年間、日常生活に支障はありませんが、骨の変形が進んでいくと、
膝蓋骨を支える靭帯が伸びてグレード3に移行してしまうことがあります。
■ グレードⅢ
膝蓋骨は常に脱臼状態にあり、指で押せば整復できるがすぐに脱臼して
しまいます。顕著な跛行がみられます。
■ グレードⅣ
膝蓋骨は常に脱臼し、指で整復することはできません。
うずくまった姿勢で歩行するまたは、前肢に体重をのせ、患肢を浮かせた
ように歩行します。

このように程度の差はありますが、痛み、腫れ、跛行、患肢の挙上など共通してみられるものもあります。特に小型犬においてよく見られる疾患で、
長期間放置すると歩行異常や関節炎などに進行します。

 手術方法
本院では様々な整形外科手術に取り組んでおりますが、膝蓋骨脱臼の症例は、特に多く遭遇する疾患のひとつです。
当院ではグレードや症例にあわせて以下の4種類の手術法を組み合わせて
行います。
 1.縫工筋、内側広筋の解放、重度の場合は内側関節包解放
(medial release)
 2.外側余剰関節包の切除と縫縮術(lateral tightening)
 3.滑車溝深化術(deepening groove)
 4.脛骨粗面移植術(tibial tuberosity transposition)
    もしくは脛骨内旋制動術 (Tibial antirotational suture)
 
しかし、最終グレードであるIVになり、膝関節の伸展が難しくなったり、
骨格の変形が重度になると予後は不良です。状況により、治療のご説明を
させていただきます。
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前十字靭帯断裂
​前十字靭帯断裂
前十字靭帯断裂は、小動物獣医外科学領域において代表的な整形外科疾患のひとつとして認識されています。
前十字靭帯(Cranial Cruciate Ligament:CrCL)とは大腿骨と脛骨を結ぶ靭帯であり、膝関節における内旋や前方変位の抑制に対して非常に重要な役割を担っています。

病因
靭帯変性、肥満、後肢の骨格異常、免疫介在性などが考えられています。

症状
靭帯断裂を生じると、膝関節は安定性を失います(ぐらぐらする)。
靭帯断裂を起こした直後には重度の疼痛により、跛行を呈します。
また慢性症例においても断裂後の膝関節は安定性を失っており、進行性の
骨関節炎により膝関節へのダメージは持続します。

診断
整形外科学的検査:
筋肉量や関節の腫脹を評価した後、脛骨の前方引き出し徴候や
脛骨圧迫試験を行い、膝関節の不安定性を検出します。

レントゲン検査:
関節周囲の様子を観察します。
脛骨の前方変位、関節液の増大や関節周囲の骨棘など骨関節炎の評価を
行います。

関節液の検査:
関節液の量や粘調性、色調、細胞成分などを評価します。免疫介在性の
関節炎や関節内の腫瘍性疾患の鑑別検査として有用です。

手術方法
前十字靭帯断裂に対する手術法として関節内固定法、関節外固定法、機能的安定化術などの様々な手術法が考案されています。
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股関節疾患
​股関節疾患
股関節形成不全
 
股関節形成不全(股異形成)は、一見して症状がほとんどない場合も
あるため、発見が遅れる場合があります。
早期発見・治療を行うためには、子犬を飼い始めたときからこまめに
健康診断を受けることが大切です。

検査法
成長期では、まず触診にて股関節の痛み、関節の緩みなどのチェックを
行います。重度の場合、触ったときに捻髪音(パリパリという細かな音)や股関節可動域の減少が散見されます。
症状やレントゲン検査によって診断し、症状と検査結果から総合的に判断
して「保存的療法」「外科的療法」から適したほうを選択します。

保存的療法
関節の緩みが軽度の場合、体重管理や、運動制限などの環境改善を行い、
重度の場合は鎮痛剤の投与により症状を和らげます。
また、レーザーによって痛みを和らげたりして、関節炎の進行を抑えます。

外科的療法
骨頭切除
 保存的療法では効果がなく、かつ、他の療法が適用できない場合、
大腿骨頭切除術」を行います。骨頭を切除することで股関節の摩擦を
減らし、繊維性の偽関節を形成させることで正常な歩行ができるまでに
回復させます。


他にも症状に応じて「三点骨盤切除」「股間節全置換術」を行うことも
あります。
これらの外科手術後には、関節炎の軽減と痛みの緩和のため、定期的に
レーザー照射や適切なリハビリを行うことが重要です。
レッグペルテス病(無菌性大腿骨頭壊死症)

レッグペルテス病/無菌性大腿骨頭壊死症はトイ種やテリア種などの小型犬に好発し、5~8ヶ月齢の若齢期に多く発症します。大腿骨の先端(大腿骨頭)が、血液供給の障害により成長が阻害され、大腿骨頭の変形や壊死を起こす病気です。罹患動物は股関節の強い痛みのため、日常生活においては進行性の跛行(ケンケンをして歩く、足を地面に着かない等)の症状が

認められます。肢を使わなくなるため筋肉量は減少し後肢は細くなります。

診断方法は主に触診と画像検査により行われます。触診では足を後方に

伸ばし、疼痛の有無を調べます。レントゲン検査では、大腿骨頭や骨頸の

骨密度の低下、大腿骨頭の辺縁部の変形、大腿骨頭や骨頸の亜脱臼等が

認められることがあります。しかし発症初期では、レントゲン所見には

異常が認められず、繰り返しのレントゲン撮影、CT検査を行う場合が

あります。
 

治療方法は、主に外科手術による大腿骨頭頭骨頸切除術を適用します。大腿骨頭頭骨頸切除術は、疼痛部位完全に取り除くため、内科治療による消炎鎮痛剤と安静よる管理よりも予後が良いとされています。

外傷性股関節脱臼

股関節脱臼は、足の付け根に大きな力が瞬間的に加わった時に発症します。落下や転倒などをあらゆる外傷が原因となりますが、最も多いのは交通事故です。骨が完全に成長していない子犬の場合は太ももの骨が折れてしまい、成犬よりも重症化する傾向にあります。脱臼するのはほとんどが頭背側方向で、これが全体の90%を占めます。後足が地面につかないよう、スキップするかのようなおかしなリズムで歩くようになります。

 

治療法

トグルピン法
トグルピン法は、人工靱帯を使って骨盤と大腿骨をつなぎ止める手術です。自身の骨頭を温存することが可能であるため、解剖学的に正常により近い形に再建でき、それに伴って関節の機能も正常に近い動きとなります。また、術後も骨頭切除と比較するとより早く普段の生活に戻る可能性が高い方法といえます。 
しかし、術後早期に人工靱帯が切れたり緩んだりしてしまうと、脱臼が再発する可能性があります。関節包が再建されるまでの間、通常3週間~6週間は厳密な運動制限などにつとめる必要があります。
骨頭切除
骨頭を切除することで股関節の摩擦を減らし、繊維性の偽関節を形成させることで正常な歩行ができるまでに回復させます。
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​跛行診断
跛行診断

跛行(はこう)とは、歩行運動時の異常な歩様や姿勢のことを言います。

跛行は痛みの回避、神経伝達の異常、運動効果器の構造異常、代謝異常などが原因で生じます。人間は動物とは会話ができません。そこで跛行の原因を追究するために獣医師は以下の診断、検査を行います。

前十字靭帯損傷や膝蓋骨脱臼を長期間放置すると骨関節炎(OA)が進行し、

動物は長期的に関節の痛みに悩まされてしまう可能性があります。
 

1.問診

年齢、品種、性別、体格 、患肢の跛行期間、外傷の有無、既往歴、

家族歴、運動後に悪化するかなどの動物の個体情報を聴取します。
 

2.視診、歩行の評価

立位における姿勢や頭部の高さ、四肢の負重状態を評価します。
 

3.整形外科学的検査

歩行検査において歩幅や歩行時の姿勢を診ることにより、異常肢を検出し、負重の度合いを評価します。頭部、脊椎、四肢を触診し、次の段階で

爪先から体幹まで、四肢の筋肉量、関節屈伸時の痛み、可動域、関節液の

貯留、骨の圧痛などの評価を行い、ストレス負荷試験によって、

各関節の細部(腱や靭帯)の異常を検出します。
 

4.神経学的検査

姿勢反応や脊髄反射、脳神経の検査を行うことにより、運動制御系器官の

評価をします。
 

5.画像検査

■X線

レントゲン写真により、骨、関節または周囲軟部組織の構造を評価します。

■CT

X線と比較し、微細な構造の評価が必要な場合に実施します。

■関節鏡

低侵襲の手技により、X線やCTでは描出不可能な関節内の構造物

(靭帯や関節軟骨)の評価を行います。

■MRI

主に神経学的に異常を示す動物の評価のために実施します。  

■超音波検査

腱や靭帯、関節軟骨の構造を評価する場合に実施します。

6.その他

■血液検査

CBCや一般生化学の検査により、感染や炎症、代謝異常の検出を行います。また特殊な疾患が疑われる場合には炎症性蛋白、リウマチ因子などの計測も行います。  

■関節液

関節液内の細胞成分を診ることにより、主に免疫介在性関節炎の鑑別を

行います。  

■内分泌検査

甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの代謝異常を評価するために

これらのホルモンの分泌を検査することもあります。

その他の骨・関節疾患
​その他の骨・関節疾患
関節リウマチ
特発性多発性関節炎
汎骨炎
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