埼玉県 川越市の動物病院 特に整形外科診療を得意としており、他院さまからの紹介も承っております
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内科②
・循環器科
・消化器科
・呼吸器科
循環器科
症状:元気が無く疲れやすい、呼吸が荒い、咳が増えた、
舌の色が良くない、痩せてきた、など。
犬の僧帽弁閉鎖不全症
概要:
心臓の中では血液は一方通行で流れています。そのために心臓内には逆流を防ぐ弁が付いています。年齢とともに逆流を防ぐ弁(僧帽弁)が変性し、血液の逆流を生じる疾患です。血液の逆流が少ないと症状は現れませんが、心臓の聴診で心雑音が聴かれます。逆流量が多くなると、元気がない、疲れやすい、寝ている時間が増えるなどの症状がみられてきます。
しかし、これらは年齢によるものと思われがちで、病気と気づかないことが多いです。
症状の多くは、咳の増加です。特に、夜間や興奮・飲水時に出やすく、むせるまたは吐くような咳をします。これは心臓が拡大したために気管・気管支を圧迫するからです。より重度になると、咳をする回数が多くなり、なかなか止まらなくなります。
重度になると肺に水がたまる(肺水腫)ようになり、元気がなくなり、苦しそうな呼吸をします。また、急にふらついたり倒れたりすることもあります。
治療法:
心臓手術によって僧帽弁を修復するか、取り替えるのが理想的ですが、ごく限られた施設で実施されている方法であり、一般的な治療法とはなっていません。そのため、通常は内服薬を用いた内科的治療が行われています。
猫の肥大型心筋症
概要:
心筋症とは、心臓の筋肉自体が様々な原因により障害を受け、心臓がうまく機能しなくなる病気の総称です。肥大型心筋症は猫で最も多く発生する心筋症のタイプの一つで、心筋が腫れて分厚くなることにより、血行が悪くなってしまう病気です。
好発種として、メインクーンやアメリカンショートヘア及びペルシャなどが知られていますが、雑種猫でも多く発生しています。どの年齢でも発症する可能性があります。
一般的に初期には症状がありません。ただ、心臓が悪くなってくると、元気、食欲がなくなったり、痩せてきたりします。重度になってくると呼吸困難、開口呼吸、発咳などを示します。また、重篤な合併症として動脈血栓塞栓症が知られています。血栓塞栓症を合併すると後肢麻痺や前肢麻痺、痙攣、腎不全などが急に発生します。これは心臓でできた血の塊(血栓)が動脈に飛んでいき、詰まることにより生じます。
治療法:
病状は定期的にモニタリングする必要があります。病気の進行状況で異なりますが、血圧を下げたり、頻脈を抑えるような内服薬を使用して治療します。病態が悪化していくと様々な症状が出てきますので、対症療法を実施します。
犬の拡張型心筋症
概要:
心臓の筋肉が薄くなりながら収縮機能を失っていくという心筋の病気です。僧帽弁閉鎖不全症などを合併することも多く、発咳や呼吸困難、失神、突然死などを引き起こします。一般に治癒することはありませんので、治療は基本的に症状を和らげるためだけの対症療法しかありません。
原因はよくわかっていませんが、家族性もしくは遺伝性が示唆されています。
大型犬に多い傾向がありますが、アメリカンコッカースパニエルなども好発犬種として知られています。
治療法:
基本的に拡張型心筋症を治す薬はありません。対症療法を行うことで、犬のQOL(生活の質)を改善させていきます。血管拡張薬、強心薬、利尿薬などを使用します。
犬糸状虫症(フィラリア症)
概要:
蚊によって媒介される犬糸状虫(フィラリア)が肺動脈腔内に寄生することで発生する病気です。犬糸状虫は蚊によって媒介され、暖かくなると感染能力を得ますので、その期間に予防薬を投与します。この予防薬は、犬の皮膚に入り込んだ犬糸状虫の幼虫を殺す薬で、これが完全に投与されていない犬では犬糸状虫の寄生の確率が高まります。また、知らないうちに寄生された状態でこの薬を飲ますと最悪、犬が死亡してします可能性があるため、事前に犬糸状虫の寄生検査を受けましょう。
症状としては喉に何か詰まったような咳をしたり、散歩・運動を嫌がったり、腹水貯留のため、お腹が膨らんでいる、といった症状がみられます。また、重篤な場合は突然ぐったりして苦しそうになり、尿の色が非常に濃くなったりします。
治療法:
まずはとにかく毎月の予防を忘れずにしっかりすることが一番大切です。
万が一感染してしまった場合、治療は非常に危険性の高いものとなります。犬糸状虫を駆虫する薬を使うのですが、薬剤が強いものとなるため、犬自身が体調を崩してしまうことがあります。また、死んだフィラリアの虫が血管内で詰まることにより硬塞を起こし、急死してしまう可能性もあります。外科的には頸静脈から専用の鉗子を用いて心臓の虫を引っ張り出してきて除去をする手術がありますが、こちらもリスクの高い手術となります。
とにかく、予防することで防ぐことができる病気ですので、毎月しっかりと予防してあげてください。
消化器科
症状:吐き気、下痢、元気・食欲がない、痩せてきた、
苦しそうにしている、など
IBD(炎症性腸疾患)
概要:
胃腸に慢性の炎症を起こす原因不明の病気で、一般に長期にわたる内科治療が必要となります。適切な治療によって多くの犬や猫で症状を改善することができますが、重度の消化器症状や低蛋白血症を有する症例では時に死に至ることもあります。
はっきりとした原因はわかっておりませんが、何らかの遺伝的な異常によって、食事や腸内細菌などに関連した胃腸粘膜の免疫異常が生じ、慢性の胃腸炎が起こるものと考えられています。
3週間以上にわたる慢性の消化器症状(下痢、血便、嘔吐、食欲不振など)が見られるのが一般的です。しかし、下痢や嘔吐がなく、体重減少や腹水貯留だけが見られることもあります。
慢性の消化器症状を起こす病気は非常にたくさんありますので、消化器症状を起こしている原因が他の病気ではなく炎症性腸疾患であると判断するためには、一般に多くの検査を行うこと、及び幾つかの治療を行い反応性を見ることが必要となります。炎症性腸疾患では糞便検査、血液検査、画像検査(レントゲン検査、超音波検査など)を行っても消化器症状を起こす異常が一般に見られず、内視鏡検査や開腹手術で採取した胃腸の組織を顕微鏡で見ると原因不明の慢性的な炎症が認められます。また、炎症性腸疾患は食事療法や抗菌薬などの治療薬で症状が完全に良くならず、副腎皮質ステロイド薬を中心とした治療によって症状が良くなります。
治療法:
下痢や嘔吐などの症状を軽減するために抗炎症薬、免疫抑制薬、食事療法、抗菌薬などを組み合わせた内科的治療を行います。特に副腎皮質ステロイド薬は有効性が高いのですが、長期的な内服が必要となることが多いので、薬の副作用にも注意しながら治療を続けます。治療の初期には薬を比較的多めに使い、症状が改善すれば薬の量を減らしていくのが一般的です。ただし、薬を完全に中止できることは少なく、必要最小限の薬を長期的に飲んでいくこととなります。
予後は様々ですが、適切な治療によって症状が改善し、長期的に生存できることが一般的です。しかし一部の症例では治療がきかずになくなってしまうこともあり、症状が重篤である場合や低蛋白血症が見られる場合は特に注意が必要です。
膵炎
概要:
膵臓の炎症により、消化器症状や腹痛などが認められう病気です。突然症状が現れる急性膵炎は比較的犬に多く、軽度なものから重症化するものまで様々です。重症化した動物では、多臓器不全に陥ることや黄疸や出血が止まりにくい状態となる出血傾向などにより死亡することもあるため、入院による集中的な治療が必要となります。また、持続した炎症により慢性膵炎に陥る動物もいます。
消化管内で消化液として働く膵液が、誤って膵臓内で活性化することで自分の膵臓を消化してしまい、炎症や壊死を起こすと考えられています。猫の慢性膵炎では肝臓や消化管にも同時に慢性の炎症が存在していることもあり、膵臓、肝臓、消化管における炎症との関連性が示唆されています。
膵炎の動物では食欲がなくなり、嘔吐、腹痛が認められます。動物の腹痛は見逃しやすい症状の一つです。動物がお腹を痛がる時に「祈りのポーズ」をとるとされていますが、それ以外に抱き上げる際や腹部を触った際に嫌がったり、噛んだりなどの行動をとることもありますう。また、重症化した動物では、黄疸や止血以上、腎不全、糖尿病なども合併することで多臓器不全に陥ることがあります。
治療法:
急性膵炎と診断した場合、まず点滴を実施し全身と局所(膵臓)の刺激を改善させます。発症直後は膵臓の刺激を避けるため口からの食事や水を控えます。吐き気が強い場合には吐き気止めを使用します。吐き気などが治まったら脂肪分の少ない食事から開始しますが、吐き気が強く食欲もない動物には消化管にチューブを設置して食事を与える方法や血管から高栄養の輸液剤を投与する方法をとることもあります。また、腹痛がある(または疑わしい)動物には積極的に痛み止めも使用します。その他、糖尿病や腎不全などの合併症が認められている動物には合併症に対する治療も必要となります。慢性膵炎(特に猫)では肝臓や消化管にも同時に慢性の炎症が存在していることもあるため、ステロイド薬を使用することもあります。
猫の肝リピドーシス
概要:
猫が食欲不振になった後に、急激に肝臓内に脂肪が蓄積することによって肝臓の機能が悪くなる病気です。症状としては食欲不振のほか、黄疸、嘔吐などが多く、重症の場合には脂肪することもあります。治療は栄養を体内に入れてあげることです。そのため食道や胃にチューブを設置して少しずつ食事量を増やす治療を行います。合併症なく初期の治療を乗り越えることができれば完治も可能ですが、治療は数ヶ月に及ぶこともあり、自宅での栄養補給による介護も重要となります。
病気になるメカニズムはまだ十分に分かっていないところもありますが、猫が十分な栄養を取れなくなると、体の中の脂肪が分解されるようになって、肝臓の中に脂肪が急激に蓄積していくために発病すると考えられています。肝臓に脂肪がたまる病気ですが、ヒトの脂肪肝とはかなりメカニズムが異なります。食欲不振の原因は様々であり、原因がわからないこともありますが、その他の肝臓の病気や、胃腸、膵臓の病気が原因となることが多いと言われています。
治療法:
肝リピドーシスは速やかに治療を開始する必要のある肝臓の病気であるため、原因となった他の病気の診断が確定していなくても、治療を開始することが一般的です。肝リピドーシスに対する特効薬はなく、治療の中心は栄養療法で、食べなくなった猫になんとか栄養補給を行い続ける事が重要です。
しかし、肝リピドーシスの猫では、自らは食べようとはしないため、強制的に栄養を与える事が必要となります。猫の場合、口の中に強制的に食べ物を入れてもかえって食事に対する嫌悪感を抱かせてしまう事も多いため、多くの場合チューブ(カテーテル)を用いて流動食を与える必要があります。鼻や食道、胃にカテーテルを設置して、少しずつ蛋白を含んだ流動食を与えていきます。
栄養を与えないと肝臓は良くならないのですが、食欲がない期間が長い場合には体が食べ物を受け付けなくて、治療開始後の方がむしろ嘔吐やよだれなどの症状や代謝の異常が悪化することがあります。しかし薬を使い、これらの症状をできるだけコントロールしながら、治療を継続しないと肝臓は良くなりません。
治療開始後初期の死亡率が高いため、最初は入院して栄養療法やチューブの設置などを行いますが、治療は時として2〜3ヶ月に及ぶため、自宅での献身的な栄養介護も非常に重要となります。
巨大結腸症
概要:
便が結腸内に長時間停滞し、大きく硬くなった糞便により結腸が引き伸ばされ、蠕動運動のできない無力状態になってしまう疾患です。原因は多岐にわたり、生まれつきの機能不全の場合や、骨盤骨折、腸管内腫瘍などにより結腸・直腸が狭窄してしまう場合など様々です。
長期にわたり症状が続くと脱水や食欲不振などで危険な状態になることがあります。
治療法:
原因となる疾患がある場合はその治療が最優先です。また、自力で出せない便は浣腸処置や
摘便などを行い除去する必要があります。
なるべく再発をさせないために、治療用の食事を用いて管理したり、緩下剤を用いたりします。外科的な対応を行うこともありますが、比較的併発症の多い手術となるので、要相談となります。
巨大食道症
概要:
食道の運動性が低下し、内腔が拡張してしまった病態を言います。先天性のこともありますが、何か他の病気が引き金となり、発症してしまうことや、原因がはっきりとはしないまま発症してしまうこともあります。
食道に力が入らないため、水や食物が食道で停滞してしまい、食後すぐの吐き気(突出)が出たり、誤嚥により肺炎を起こしてしまうケースもある疾患です。
診断はX線検査、食道造影検査などを行い、原因となりうる他の疾患がないかも同時に検査をしていきます。
治療法:
他の疾患が引き金となり発症している場合には、その原因疾患の治療が優先されます。先天性のものや原因不明のものでは、残念ながら完治を目指す治療はほとんどないため、食事をうまく食べられるようにサポートしたり、誤嚥を防ぐような工夫をしてあげることが大切です。
胃拡張・胃捻転症候群(GDV)
概要:
胃の拡張及び胃の変位により起こる疾患です。一般に大型犬で発症し、食後の運動やストレスが関与しています。症状は、急激にお腹が大きく膨らみ、衰弱・虚脱を示します。また、この病気は死亡率が高く、できるだけ早く適切な対応が必要な救急疾患です。
明らかな原因は不明ですが、動物の体型、一度に多量の食事を与えるなどの食事の給餌方法、食後の運動やストレスなどが関与して起こります。
グレートデーン、ワイマラナー、セントバーナード、ジャーマンシェパード、アイリッシュセターなど大型で胸が深い犬に多いです。
急激にお腹が膨らみ、背中を丸めるような姿勢を示したり、落ち着きのない様子が認められます。また、嘔吐しようとするが嘔吐できず、多量のよだれが認められます。重篤な場合には血圧低下、頻脈、粘膜蒼白、呼吸促迫、沈鬱やショック状態を示します。
治療法:
胃内に貯留している多量なガスを口からチューブを胃内に挿入させて排泄させます。それができない場合には胃に直接体表から針などを刺してガスを排泄させます。さらに、動物の血圧や心拍出量を改善させるために輸液療法を実施します。
動物を安定化させた後に全身麻酔を施し、捻転した胃を正常の位置に整復して、再度捻転が起きないように胃を腹壁に固定する手術を行います。その際に、胃に壊死した部分があれば切除します。手術後に不整脈が認められる場合が多いので、必要に応じて抗不整脈圧を投与
します。
十分な治療を実施しても死亡率は15〜28%と高く、迅速で適切な対応が必要です。
呼吸器科
症状:呼吸が荒い、咳が出る、呼吸時に音がする、
舌の色が良くない、など
犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)
概要:
様々なウイルスや細菌の単独もしくは混合感染によってい、主に若齢犬に起こる伝染力の強い呼吸器疾患です。多くは安静にすること、もしくは薬の投薬によって回復しますが、中には重篤化する場合があります。
空気を介しての感染、もしくは感染した犬との接触などにより発症します。多くは最近外出していたり、ペットショップなどから迎え入れたばかりという経歴、もしくは同様の症状を示す犬との接触歴があり、通常は感染一週間以内に発症します。
別名「ケンネルコフ」という名前の通り、咳の症状により気づきます。咳は持続性であり、微熱・鼻汁、吐き気が見られることもあります。多くは一般状態良好ですが、稀に長期化もしくは他の病気を併発すると重篤化し、肺炎を引き起こし咳以外の呼吸器症状(荒い呼吸や口を開けた呼吸など)も発生します。
治療法:
他の病気の併発もなく軽度の場合、適切な環境(温度や湿度)の下で安静にすれば1週間程度で自然治癒することが多いです。治療が必要な際は、細菌感染に対する抗菌薬の投与により1〜2週間で良化します。症状を見て、鎮咳薬や気管支拡張薬を使うこともあります。重篤化し肺炎を引き起こした場合は、長期的な治療が必要となります。
猫の上部気道感染症
概要:
ウイルス、細菌、クラミジアなど、複数の病原体が原因あるいは増悪因子として関与していますが、代表的なものとして猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)及び猫カリシウイルス(FCV)が挙げられます。いずれのウイルスも容易に感染が広がり、かつ症状が消えても猫がウイルスを保有し、ウイルスを排泄し続けるため、猫の健康管理においては非常に重要な病原体です。
免疫力の弱い幼猫、ワクチン接種を受けていない猫、他の病気に罹患している、あるいは何らかの病気を治療中の猫、といった免疫に影響を及ぼすような要因を持った猫が発症しやすいです。
鼻汁やくしゃみが主要な症状として認められます。重篤な場合には肺炎になることもあるので注意が必要です。この病気には前述のように複数の病原体が関わっていますが、その病原体によって症状が若干異なります。
FHV-1の感染では、初期に沈うつ、くしゃみ、食欲不振、発熱、漿液のような鼻からの分泌物、よだれが認められますが、流涙と充血・浮腫を伴う結膜炎を併発していることも多いです。膿のような鼻汁や流涙を起こしますが、主症状はよだれを伴う口の中や舌の炎症や潰瘍が特徴的です。またこのウイルスは肺炎を起こすことがあり、さらに関節炎にも関連しています。
治療法:
原因治療と支持療法からなります。インターフェロンなどの投与や、輸液、栄養補給などを行っていきます。クラミジアや他の細菌の二次感染がある場合には抗菌薬を用います。
気管虚脱
概要:
小型犬に多く発生する病気であり、呼吸に欠かすことのできない筒状の気管が潰れるために様々な呼吸器症状がみられます。詳しい原因はわかっていませんが、遺伝的な要因、高温多湿などの環境的因子、リードでの強い牽引などによる外方からの圧迫、よく吠えるなどの気道内圧の上昇、肥満などが誘発因子として挙げられます。
ヨークシャーテリア、ポメラニアン、チワワ、トイプードル、マルチーズなどの小型犬に多く見られますが、あらゆる犬種で発生します。
初期では発咳は単発で見られますが、徐々に連続性となり長い咳の後に「カーッ」とたんを吐くような仕草をするようになります。また、感染を伴うと気道内に分泌物が貯留することにより湿性の発咳が発現します。発作的な発咳が繰り返されることにより、重度になると強く虚脱した気管(気管がつぶれてしまうこと)のために呼吸困難を引き起こすようになります。
呼吸困難がひどい場合にはチアノーゼ(舌が青紫色になり)非常に苦しい状態となります。また症状は全くないまま進行して、気づいた時には重度であることもよく見られますので、軽い咳であっても十分な注意が必要です。
治療法:
内科療法としては、ステロイド剤、去痰薬、抗菌薬、鎮咳薬などの投与のほか、呼吸困難では酸素療法が挙げられます。多くは進行性ですが、決して全てではありません。軽度の場合には内科療法が適用されますが、進行性の場合や重度の場合には内科療法では限界があります。
重度の場合には外科的治療を考慮すべきで、特に虚脱が頸部〜胸部の入り口付近である場合は、外科治療で良好な経過が得られるケースも多いです。
横隔膜ヘルニア
概要:
治療法:
肺水腫
概要:
治療法:
短頭種気道症候群
概要:
短頭種には、様々な形態学的な異常があり、それらにより吸気性の呼吸困難が起きます。鼻から気道の入り口である喉頭部までの上部気道が様々な形態学的な異常に伴い狭くなってしまうため、呼吸がしづらくなります。そのため、短頭種はいつもよりも強い力で胸を大きく動かして呼吸しようとします。そうするとさらに上部気道が狭くなり、もっと呼吸が苦しくなります。
フレンチブルドッグ、チワワ、パグ、ポメラニアン、キャバリア、ヨークシャーテリア、シーズーなどの短頭種に好発します。
開口しながらのガーガー音が、最も一般的な症状です。短頭種は、このように開口して音を発していることが多く、これが一般的だと思っている飼い主様もいると思います。しかし、短頭種は他の種類の犬と同様に口ではなく、鼻での呼吸を望んでいますが、上部気道が狭く呼吸がしづらいため、やむなく開口して呼吸をしていることを忘れないでください。その他、鼻呼吸をしながらいびき音が聞こえてくることもあります。また、運動したり興奮したりするたびに舌の色がチアノーゼ(青紫色)になることもしばしばであり、そのような状態になると動きたがらなくなり、体温が高くなっていることもあり、時には突然失神したり、最悪のケースでは亡くなってしまうこともあります。
治療法:
・鎮静薬を用いて興奮を鎮めます。
・消炎剤を用いて粘膜の炎症を引かせます。
・強い力で息を吸うと余計に苦しくなるので、体重を減らして息を吸う力を弱めます。
・涼しい部屋の中に入れてパンティング(喘ぎ呼吸)を抑えます。
・上部気道の狭い部分を手術で取り除きます。